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【実店舗におけるファネル戦略】店前通行量の取得から始めましょう

実店舗におけるファネル戦略とは?

実店舗においてもファネル戦略はとても大切です。

「ファネル戦略」と聞くと、ECサイト、つまりはWEBマーケティングの領域だと思っている人も多いのですが、実店舗経営においても大切な考え方・施策になりますので覚えておきましょう。

ECをはじめとするオンラインのファネル戦略は今や一般的

ファネル戦略をECサイトのものだと思っている人が多いのは、ECサイトでは一般的に活用されている戦略・施策だからです。

ECサイトの場合、ページの表示が遅い、思っていたものではないといった理由で離脱されてしまうケースが珍しくありません。

そのため、数値を上げるためにはそれぞれのファネル戦略が大切になります。例えばページの表示が遅いことで離脱されているのであれば、ページの高速化が求められますし、商品の品揃えに不満があり離脱されるのであればラインナップの見直しが求められます。

このように、ECサイトでは様々なデータを取得できるからこそ、各ファネルの課題ごとに戦略・施策を打つことができます。

なぜ実店舗ではファネルの概念が欠如してしまうのか?

ECサイトでは当たり前とされているファネル戦略ですが、実店舗ではまだまだ普及しているとは言えません。つまり、ファネル概念がそもそもない場合が多いのですが、その理由については主に下記の二点が挙げられます。

コツ感に頼った経営になりがち

実店舗では、それまでの経験に基づく「勘」「コツ」など、いわば経営者・店主の直感に頼った営業スタイルが多いです。「ビジネス」という概念が希薄で、「なんとかなる」「とりあえずお店を出す」といったスタンスの経営者が多いです。

そのため、ファネル戦略はおろか、そもそも「経営=数値を論理的に判断する」という概念を持っていないケースが珍しくありません

ITリテラシーの低さ

実店舗の経営者・店長の、ITリテラシーが低いことも要因の一つです。特にネットネイティブ世代よりも上の経営者・店長ともなれば、ITが決して身近なものではありません。今日、我々の生活にはITは欠かせませんが、お店の経営とITは別だと思っている経営者や、「よく分からないから」と、ITを敬遠・忌避している経営者・店長も多いです。

実店舗の場合のファネルについて説明

実店舗の場合、下記のようなファネルに分類できます。

オフライン店舗KPI

『店前通行数』とは、お店の前を通っている通行者のことを指します。その通行者がお店を認知することが『店を認知』に当たります。

『入店数』は『店を認知』した中からお店に入る人を指します。ここで、入店率を割り出すことができます。

店内に入ってからの行動をファネルに落とし込むと、『商品を視認』が商品棚やディスプレイをざっと見ている行動です。『商品確認数』は数多ある商品から特定の商品を見ている人数になります。

気になった商品を手にとったり試着したりする行動まで起こした数が『試着数』に当たります。

『購買』は商品を購入する人数を指します。

さらにその後も使ってくれる人、満足したからこそ使い勝手、お店のことを拡散してくれる人を『使用』『拡散』と分類できます。

当然、下に行けば行くほど人数は減ります。それぞれにおいて対策は異なりますが、対策を考える前に、まずはこのような形でファネルを分類できると知ることが大切です。

ファネルの概念があることで変わること

ファネルという概念を持つことで、それぞれについて測定する必要があることに気付くかと思います。当然先に紹介したように、ファネルは下に行くに従って人数は減ります。

では具体的にどれくらいの人数で構成されているのか。まずは自店について、それぞれのファネルステージの人数を把握することが大切です。感覚やカンでは決して把握できない、具体的な数値をまずは把握しましょう。

顧客のファネルステージに合わせたクリティカルな施策の立案実行ができる

ファネルステージを理解することで、購買に至るまでどこに問題があるのかや、全体を俯瞰してどのような対策を打つべきなのかが分かります。

例えば入店数は多いものの、購買が少ないのであれば購買にたどりつくまでのファネルに問題があることが分かります。そもそも、入店数が少ないのであれば、お店の前の通行数やお店の認知に問題があります。

ファネルは、問題のある数値より上位のファネルステージに問題があることを意味しますので、具体的にどのような対策が必要なのか、より細かいピンポイントの対策を打つことが可能になります。

そうすると、情報も必要になりますので、足りていなかったり正確でない数値に関しては正しく取得するようにしましょう。

ECサイトでいう流入数に当たるトラフィックの改善が必要だ!

実店舗にて思うように売り上げが上がらない原因は多々あることでしょう。しかし、やはり分母を増やすという点ではECサイトにおけるトラフィック、つまりは入店者数の改善が求められます。

店前通行数のエリア評価

ファネルステージの対策の中で、分母を増やす対策としては、店前通行数からお店を認知してもらうの数を増やすことです。

既にお店を出している場合、如何に認知してもらうか力を入れなければなりませんが、これからお店を出す場合、エリア評価のチェックが重要です。なぜなら、通行量に関しては自店の努力で大きく覆すのは難しいからです。

お店側から見ると、お客様にしてほしいコンバージョンを「入店」とすると、入店の前にとる顧客行動をマイクロコンバージョンとして設定することで、お店への入店までのステップを把握することが出来ます。

入店までのマイクロコンバージョンを見てみましょう。

お店で買物をするお客は店前通行から立ち止まり、店を認識、店舗概要理解、入店検討というプロセスを経てようやく入店に至ります。店前通行しても入店するのはほんの一部に過ぎません。

店前通行の母数を増やすためには、自店の努力で大きく覆すことが難しい最寄り駅や1本横の通りの通行量に依存します。

仮にですが、メディアを巻き込むような人気店に成長すれば、エリアの通行量そのものを増やすこともできます。しかしそこまで成長するまでは、通行量はお店の評判ではなく、街・エリアの利便性です。

人口の多い街、あるいは訪問者の多い街と、人があまりいない街や、昼間人口の少ない街とでは、「人の数」がそもそも違います。

「お店は立地が大切」との格言があるのはそのためです。

どこにお店を構えるのかは、商才以上に重要な部分です。賃料の安さだけで立地を決める経営者・店主も多いですが、ここでも直感や勘だけで決めるのではなく、エリア評価など具体的な街の評価を軸に、どこにお店を出すのかを考えましょう。