店舗DX事例

データドリブンな店舗運営を実現するために〜店舗マネージャーと店長〜

小売業の抱える悩みとして、本部と店舗における目標設定の難しさや、両者間でより良いコミュニケーションをとるための関係構築に課題があったりしませんか?今回は、データドリブンな店舗運営を実現するための考え方を本部と店長の立場から考えてみましょう。

定量的な数値の必要性

  店鋪の売上分析に使用しているデータは、POSデータでしょうか?今まででは、店舗改善を考える際に使えるデータはPOSデータしかありませんでした。しかしながら、POSデータからは、今日はお客様が少なかったのかはわかりません。スタッフの会話で出てくる『今日はお客さん少なかったよね。』というフレーズは本当に鵜呑みにしてもいいのか?そもそも妥当なのか気になりませんか?

本来必要なのは、定量的なデータです。定量的とは数値で置き換えられること、つまり売上高、スタッフ数、来店数、入場者数などのデータのことです。

ファネルという考え方とKPIの設定

データドリブンな店舗運営を目指すにあたり、定量的なデータを可視化することが重要です。定量的なデータとは、ファネルという概念を理解するとわかりやすいです。この概念はECでは一般的な考え方ですが、実店舗に置き換えると下記の図のようになります。

ファネルとは、お客様のお店認知、来店、購買に至るまでを漏斗の形になるようにステップで落としこんだものです。購買というゴールに向けて分母となる数、つまり、パイが減少していきます。

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KPIとは「重要業績評価指標」のことで、購買という目標へ到達するまでに必要なステップを細分化すると、購買率や試着率など重要な指標が出て来るのですが、それらをKPIと言います。KPIを求めるために、必要なデータを取得しましょう。

①購買率  購買率=購買人数÷入店数 なので、購買人数と、入店数を計測すれば求めることができます。

②試着率  試着率=試着数÷入店数 なので、試着人数と、入店数を計測すれば求めることができます。

③入店率(来店率) 入店率=入店数÷店前通行量 なので、入店数と、店前通行量を計測すれば求めることができます。

KPIの可視化をする為に『入店数カウンター』を導入する

  KPIを可視化するためには、必要な項目の数値を計測する必要があることがわかりました。ではどうやって計測するのでしょうか?今まで目視で行っていたという店舗も多いかと思いますが、目視だとスタッフによってばらつきがあることから定量的なデータに正確性がなくデータドリブンな店舗運営につながりません。そこで導入するのが『入店数カウンター』です。天井に小さな機械を取り付けるので、外観を失うことなく来店数を計測することができ、独自の管理画面から時間帯ごとの来店数や性別年代、販売員数の過不足をチェックすることができます。

その他機能としては、店舗のPOSデータを連携させることができるので、スタッフあたりの売上高などを店舗全体で共有することが可能でスタッフのモチベーションアップにも繋がります。

別の事例ですが、来店数が多い時間帯の傾向を掴めたことで、その時間帯に接客できる店員を増やすなどの改善が可能となります。

また、来店数が増えると購買率は下がりますが、売上金額は上がっていくことが見込まれます。

購買率の仕組み
来店人数が増えると、購買率は下がるが、売上は上がる。

これなら、ITリテラシーに自信がない方でも、データをどう活用するかイメージができると思います。

店舗マネージャーと店長の活用方法

店舗のKPIデータを可視化できたら、管理画面でさまざまな分析が可能になるのですが、店舗マネージャーと店長の両者にどのように活用してもらえばいいのでしょうか?

店長の立場

 店長の立場からすると、日々の業務で手一杯であることが想像できます。そこへ、さらにファネル分析だの売上分析だの新たな業務が増えることに対して、後ろ向きな可能性が高いと思われます。なぜなら、以下のような理由が考えられます。

  • ITリテラシーに課題を感じている
  • バイトの人間関係の調整で手一杯
  • 日々の業務で新しい知識をキャッチアップする時間がない
  • 購買率や試着率と言われても、計算方法が全然わからない

店長にデータを見るように指導する場合は、以下項目から始めてみましょう。

  • 正確な購買率を知るために、買い上げ人数と買わなかった人数比のチェック
  • どういう人が何人くらい来ていたのかを知るために、性別年代のチェック
  • 時間帯ごとのスタッフ人数の最適化を図るために、来店数が多い時間帯をチェック

店舗マネージャーの立場

 店舗マネージャーがデータ活用を行う場合は、ファネルごとに設定したKPIを可視化してみましょう。そうすると、改善すべきファネルと打つべき施策が見えてきます。購買率を改善したい、来店数を増やしたい、はたまたリピーターを増やしたいといった施策の話が可能になります。そして、施策の効果も分析できます。施策の効果を店舗ごとやエリアごとで比較することも可能です。それらの結果を店長へ共有する際に、『購買率(買い上げ率)』や『来店数』といった共通の指標の認識があれば、コミュニケーションもスムーズになり連携体制が強化できます。

まとめ

どこの小売店でも店舗マネージャーと店長間で共通言語がない場合が多いですが、データに基づいた店舗運営にシフトするためには、購買率や、来店数といった共通言語を持つ必要があります。入店数カウンターで取得したデータを店舗マネージャーだけでなく、店長も活用できることがデータドリブンな店舗運営のカギではないでしょうか。

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