店舗DX事例

アパレルのVMDは?無印やニコアンドの成功事例をもとにVMDの重要性を説く

いまさら聞けない!アパレルが意識すべきVMDの事例を紹介

アパレル業界では商品をより良く見せるためにVMDに力を入れている企業が多くあります。

今更「VMDって何?」とは聞きにくい・・・そんなVMDの解説と実際の事例をご紹介します。

VMDの意味と効果

まずはVMDの意味とその効果について解説します。

VMDとは

VMDとは英語で「visual merchandising(ビジュアル・マーチャンダイジング)」の略語です。

visual=視覚的に

merchandising=商品化計画

お客様に商品を購入してもらうためのマーケティングを視覚的に行うことになります。

VMDについては過去にご紹介していますので、そちらも是非ご覧ください。

VMDの種類について
VMDとは?店舗やディスプレイで使える活用戦略と成果に繋がる3つの視点VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)は店舗や商品、ブランドをお客様にアピールし、販促につなげるマーケティング手法の一つです。こちらでは、VP(ビジュアル・プレゼンテーション)、PP(ポイント・プレゼンテーション)、IP(アイテム・プレゼンテーション)の概念を理解し、効果的に活用するための方法をご紹介します。視覚的効果を意識して施策を行いましょう。 ...

VMDの効果

VMDは大きく分けて3つの効果を狙います。

  1. 目を引く→VP(ビジュアル・プレゼンテーション)
  2. 立ち止まる→PP(ポイント・プレゼンテーション)
  3. 手に取る→IP(アイテム・プレゼンテーション)

目を引く、立ち止まる、手に取るという効果から商品を実際に購入してもらうという流れに繋げていくのがVMDです。

待ち合わせの時間つぶしにふらりと入った店舗で探していた商品を見つけて購入した。もうそろそろ買い換えようと思っていたが躊躇していた商品が、店頭で目玉商品として山積みだった、などのように購買率を上げるために、企業側は消費者の生活やシーズンを分析した上でVMDを設置することが重要です。

VMDを気にするべき担当者

全ての従業員が気にした方が良いかもしれませんが、日々の業務もあり難しいでしょう。

特に気するべき担当者を挙げます。

アパレル企業の経営者

経営者は最もVMDを気にするべき人物になります。

VMDの着地点は「売上アップ」です。企業の経営を任されている者は、VMDの費用対効果や売上の変動など常に意識して経営を行うことになります。

また、小規模の企業になればブランドイメージを最も強くイメージできる人物になります。

実際にレイアウトを行うのが経営者自身でない場合は、ブランドイメージを伝えることになります。

アパレル企業の店長

小規模の企業であれば店長が主にVMDについて考え、主導していくことになります。

大規模の企業の場合は本部から参考レイアウトが送られてきて、それを基に店舗のディスプレイを行うことになります。

しかし、広さや形状は店舗によって異なりますので、常にアレンジが必要となります。また、各店舗の個性を出すために本部では詳細なレイアウトを作らない場合もあります。その場合は店長の腕の見せ所となるでしょう。

店舗データをもとにしたVMDとは

VMDが日本で活用され始めたのは1970年代ですが、最近まで主に担当者の経験とセンスで行われていました。

近年は、店舗データを分析しVMDを効果的に展開する試みを導入している企業もあります。

通行部分

お客様が商品を購入するためには必ず店舗の前を通行し、入店します。

VPの効果を計るには、次の2つが重要な店舗データとなります。

  • 店前通行量=どれだけの人が通行したか
  • 入店数=通行した人のうちどれだけの人が店舗に入店したか

店前通行量はVPの効果で変動させることは難しいですが、入店数から入店率を計算できます。

VPの効果が高いほど、通行した人の目を引き入店を促したと読み取れます。

店舗内の行動

お客様が入店してから購入にいたるまではPPとIPの効果になります。

店舗内をどのような行動をしたかは分析する上で重要な店舗データとなります。

  • 動線分析=店舗内をどのように移動したか
  • ヒートマップ=店舗内のどの位置がお客様が滞在した時間が長いか
  • 購買率=入店したお客様が購入した割合

店舗内を歩き、立ち止まるのはPPの効果となり、動線分析やヒートマップに結果が反映されます。

商品を手に取るのはIPの効果となり、購買率に結果が反映されます。

店舗解析ツール紹介

VMDの効果は通行部分や店舗内の行動に影響します。

しかし実際に店前通行量を計測するには、人間が手動でカウンターで数えるという手段は現実的ではありません。

店舗のレイアウトは季節や新商品に合わせて定期的に変更するため、1日だけ計測しても店舗データを活用できません。

さらに動線分析やヒートマップのような店舗内の行動はカウンターでは計れません。

そこで近年は店舗分析ツールが活用されています。

followup

店舗解析ツール「FollowUP」では来店人数や購買率算出、平均滞在時間の算出などの分析ができます
さらにオプション機能で店舗の動線解析やヒートマップ分析ができます
勘や経験からVMDを行うのではなく、信頼できる店舗データを基にVMDをさらに発展させましょう。

企業事例

VMDが大切なことは理解できたと思います。しかし実際にどうしたら良いのか分かりにくいものです。
実際の企業の事例を参考にして、自店で活かせるアイデアがないか考えてみましょう。

ニコアンド トーキョー

https://www.nikoand.jp/tokyo/

アパレルとインテリア雑貨を取り扱い20~30代女性に人気のニコアンド。店舗内の様子は「PHOTO GALLERY」で見ることができます。(2021年12月時点)

「いちばんカッコいいと思える売り場を作る」という考えのもと、日々店舗のレイアウトが行われています。

必要であれば壁をペンキで塗り、足りなければDIYで什器を作る。そうして作られた売り場はナチュラルだけどシンプルじゃない、わくわくする売り場は選ぶ・迷うといった買い物体験自体の楽しさをより引き立ててくれることでしょう。

チーフスペシャリストVMDディレクターの魚住岳寿さんがニコアンドのVMDについて計11回にわたり連載していました。

そちらも参考にしてみましょう。

https://archives.nikoand.jp/topics/cat/tsukurikata/

無印良品 東京有明

https://shop.muji.com/jp/tokyo-ariake/

衣服の他に生活雑貨や食品を取り揃える無印良品。表示されているリンクからは、東京有明店の様子を「店舗の様子」で見ることができます。(2021年12月時点)

前述したニコアンドと同じナチュラル系ですが、シンプルなイメージで分かりやすいレイアウトです。また、関東最大の東京有明店ではその広さを存分に生かし、ゆとりある通路になっています。

一つ特徴として、2020年より「無印良品の黒」として、これまでなかった黒色の家具を取り扱い始めました。垂れ幕や看板にも黒を使用し、遠くからでもこれまでの無印良品にはなかった黒が目に入ります。

https://www.muji.com/jp/ja/shop/046625/articles/department/643296

UNTITLED 2014 A/W Exhibition

https://platform.world.co.jp/projects/untitled-2014-aw-project-exhibition-vmd-decoration-example/

シンプルかつエレガントで大人の女性をターゲットとしたUNTITLED。

2014年秋冬モデルの展示会の様子です。

VPとしてブランドイメージが一目でわかるブランドロゴとモノトーンにワンポイントを着飾ったマネキンたち。奥に目をやるとオレンジを着飾ったマネキンたちに誘われて自然と店舗の奥へ導かれているようです。

まとめ

VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を活用してお客様の目を引き、立ち止まらせ、商品を手に取ってもらうことで売上を上げる店舗づくりを行いましょう。

他の企業を模倣するだけでは売上を上げることは難しいでしょう。なので、自社のブランドイメージをさらに魅力あるものに仕上げていくことが必要です。

VMDは一度で簡単にできるものではありません。

店舗解析ツールで店舗データを読み解き、トライ&エラーを繰り返してよりよい店舗のVMDを目指しましょう。