ロシアのウクライナ侵攻、円安、エネルギー価格の高騰といった情勢により、電気料金の値上げが相次いでいます。さらに、電力会社5社がすでに2023年4月から値上げを経済産業省に申請しており、家庭および企業へのさらなる影響が見込まれています。
そこで、帝国データバンクでは、電気料金の値上げについてアンケートを行いました。
調査結果(要旨)
- 電気料金は1年前の約1.3倍に増加
- 企業の7割は電気料金増加分を価格転嫁できず
- 「稼働・営業時間の短縮」など、働き方を変えて電気料金値上げに対応する企業も
アンケート期間 | 2022年12月2日~6日 |
有効回答企業数 | 1,265社(インターネット調査) |
調査実施 | 株式会社帝国データバンク |
電気料金の総額は1年前と比較して約1.3倍に増加
電気料金の総額が1年前と比べてどのように変化したか尋ねました。
「増加した」企業の合計は86.6%となり、1年前より電気料金の総額が増加、「変わらない」は7.4%、「減少した」は1.3%となりました。
電気料金の総額は1年前と比較して平均28.7%増となり、約1.3倍に増加しています。
企業の声
- 「電気料金は昨対比150%程度と高騰しているが、サービス品質維持のためにも大幅に削減することは考えていない。社内利用分を削減することで、電気料金を昨対比140%程度に抑えたい」(フィットネスクラブ)
- 「稼働率低下により電気料金の総額は横ばいとなった」(界面活性剤製造)
- 「LED照明へ入れ替えた結果、40%ほど電気料金が下がった」(荒物小売)
7割の企業が電気料金増加分を「全く価格転嫁できていない」
電気料金の増加分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているか尋ねました。
「多少なりとも価格転嫁できている」企業は29.6%となりました。「すべて価格転嫁できている」企業は2.2%にとどまり、「全く価格転嫁できていない」企業は70.4%にのぼりました。
企業の声
- 「価格転嫁のお願いをし始めたが、ピークが見えてこないと案内しづらい」(糖類製造)
- 「卸売業では電気料金上昇のための価格転嫁は受け入れてもらいにくく、手の打ちようがない」(配管冷暖房装置等卸売)
「稼働・営業時間の短縮」など、働き方を変えて電気料金値上げに対応する企業も
政府は2022年12月1日から、冬季としては7年ぶりの節電要請を実施したため、電気料金値上げ・節電要請への対応策(検討含む)について尋ねました。
「こまめな消灯」(70.9%)がトップとなりました(複数回答、以下同)。一方で、企業の13.3%は「稼働・営業時間の短縮」(6.0%)といった、働き方を変える対応策を実施または検討していました。
一方で、より安い電気料金を求め「新電力会社から大手電力会社への変更」(4.2%)、「大手電力会社から新電力会社への変更」(4.1%)を実施、または検討しています。
企業の声
まとめ
エネルギー価格高騰が続く中、電力会社が電気料金の値上げを行うことは避けては通れません。
それを受けて、政府は2023年1月より電気料金の支援を行う予定ですが、支援内容は電気料金の値上げのペースに追いつかず国民の負担は依然として大きくなることが想定されています。
政府はこれまで以上に手厚い支援策や、省エネ製品・設備の導入のための補助金制度の充実、電気料金増加分を価格転嫁できる環境整備の推進など、多方面にわたる対策強化が求められています。
出典元:PR TIMES