帝国データバンクは、上場する外食企業100社における値上げ動向について調査・分析を行った「上場外食主要100社 価格改定動向調査(10月)」を発表しました。
調査結果(要旨)
- 外食主要100社の半数超が値上げ。メニュー価格は平均50円アップし600円超え。
- ファミレスなどで値上げが進む。居酒屋業態では値上げ少数に。
- 「無理な価格据え置き」に見切りの動き。「再値上げ」が広がる可能性大。
外食主要100社の半数以上が値上げ実施
大手外食チェーンでの値上げは、2022年1~4月までは15社にとどまっていましたが、半年間で約4倍と急増。各社が続々と値上げに踏み切り、全体の半数以上となりました。
値上げの主な要因
- 「食肉」「小麦粉」「原油」の高騰
- 円安による輸入コスト上昇(夏以降の値上げへ)
メニュー価格は平均50円アップし600円超えに
具体的な値上げ金額が判明している企業41社をみると、最も多い値上げ金額の幅は「30円以下」で15社でした。
30円以下の値上げでは、中華料理やラーメンなど中華麺業態のチェーンで多く見られました。
1メニュー当たりの値上げ金額は平均50円となり、平均メニュー価格は600円を超えました。
2022年夏頃までの傾向
- 牛丼
- ハンバーガー
- うどん など
原材料価格上昇を受け止める余力が低い「低価格チェーン」が多くを占めていました。
最近の傾向
- 回転すしなど長らく均一価格を保ってきた業界
- 中高価格帯のランチ など
これまで価格変更に慎重だった外食各社の姿勢が一転。大幅な価格アップに踏み切るケースが目立つのが今年の外食値上げの特徴となっています。
ファミレスなどでは値上げ増加、居酒屋業態では値上げ少数に
最も値上げした企業の割合が多くなったのは、中華料理やラーメンチェーンなど「中華麺」業態で、9割の企業で値上げを行いました。多くが「ワンコイン」に代表される低価格メニューを主力としている業態です。コスト上昇の影響が直撃する結果となりました。
- 麺の原料となる小麦価格
- 肉製品の価格上昇
- 電気・ガス代などエネルギーコストの上昇
一方、「居酒屋」は値上げの割合が3割にとどまりました。
客足が戻らない中での値上げには慎重な姿勢を崩さない企業が多く、値上げした企業においても、酒類のみ・ランチメニューなどの値上げにとどめるケースが多くみられました。
【予測】今後、再値上げが広がる可能性
外食チェーンではこれまで、値上げによる消費者離れを懸念して、様々な対策を取っていました。
- コスト削減
- 新たなメニューの提供
- 調達材の国産への切り替え など
極力メニュー価格を据え置き、やむを得ず値上げする場合でも、値上げ幅を抑制するための対策に知恵を絞ってきました。
しかし急激に進んだ円安の影響により、輸入食材価格や電気・ガスなどエネルギーコストも急上昇し、無理な価格維持が自社の利益を圧迫するケースもみられ始めています。
150円に迫る円ドル相場など「コスト上昇が想定を超えている」といった指摘もあり、当面の間コスト減少につながる明るい材料も見えてきていません。
「顧客離れ」というリスクを抱えつつも、収益確保のために「無理な価格据え置き」に見切りをつけ、「再値上げ」「再再値上げ」に踏み切るケースが今後さらに増加する可能性があります。
出典元:PR TIMES