クレーム対応は誰もが苦手意識をもってしまうものですが、店舗、飲食店、企業がビジネスを行うためには絶対に避けては通れないものです。
そこで今回はクレーム対応について解説していきます。
クレーム対応の重要性
お客様が抱える不満や問題がクレームとして表面化するのは顧客全体の数%に過ぎません。多くのお客様はサイレントクレーマーであり、不満を抱えていたとしてもそれを表面化させていません。
そのため、クレームはその企業の問題点を表面化した重要な情報になります。
また、お客様がクレームをする時はそのお客様が自社の商品から離れてしまうか、クレームが解決しリピーターとなるかの重要な分岐点となります。
多くの場合、お客様は商品自体に興味があるからこそクレームをつけているのです。
問題が根本的に解決できなかったとしても、代替案を提案するなどで納得していただくことで「きちんと対応をしてもらえた」と好印象になり、そのお客様がリピーターとなる可能性が上がるのです。
そして一人のお客様のクレームから表面化した問題点を解決することで不満を抱えているサイレントクレーマーへの対応にもなるので企業や組織全体で積極的にクレームの解消に尽力していきましょう。
サイレントクレーマーはクレームとして直接伝えてこない代わりにSNSなどで拡散することもあります。企業としては、こちらの対応の方が大変かもしれません。SNSで拡散・炎上となる前に、クレームで見えた問題点を常に改善していくことが非常に重要となります。
クレーム対応のNG対応
クレームには適切な対応が求められます。NG対応を行うと「商品が悪い」というクレームから店員の「対応が悪い」と二次クレーマーに変化してしまうこともあります。
お客様の怒りを増幅させてしまう、次のような対応には気を付けましょう。
お客様の話を遮る
お客様はクレームをする際、「この怒りを伝えたい」という感情を持っています。伝えたいのに、こちらが話を遮ってしまうとさらに怒りが増幅しかねません。
まず何より、最後までお客様の話を聞くことが大切です。
言いたいことを全て話し終わるとお客様はふぅと一息、少し落ち着くこともあります。
お客様の話を否定する
誰でも日常生活の中で自身の話を否定されたら良い気分はしません。怒りの状態であればなおのこと否定されたら余計にイライラしてしまいます。
例えお客様自身のミスや勘違いであったとしても、そのまま否定してしまうと怒りが増幅してしまいます。
「説明不足で申し訳ありません」という前置きを用い、お客様の非ではありませんという表現を行いましょう。
また、お客様の言い間違いを訂正することも否定されていると感じられてしまいます。指摘はせずに話を進めるようにしましょう。
曖昧な時間の表現を使う
人は怒りの状態のときは些細なことがさらなる怒りの火種になることがあります。
「少々お待ちください」と言われ、通常なら待てる待ち時間でもクレーム時はそうではありません。
普段ならば3分待つことが平気でも、怒っている際は1分でも長いと感じてしまうことがあります。
お客様にとって不確定な要素となってしまう曖昧な表現では怒りを増幅させてしまう可能性もありますので、「数分かかる場合がございますが、お待ちいただけますでしょうか?」と具体的に時間をお伝えしましょう。
伝えた時間までに終わらない場合もあります。それをそのまま放置しては怒りに繋がります。
間に合わなそうな場合は「大変申し訳ありません。〇〇に少々お時間がかかっております。もう数分お待ちいただいてもよろしいでしょうか?」と繋ぎの案内を入れるようにしましょう。
クレーム対応のポイント
クレーム対応はお客様の怒りを和らげ、状況に応じた的確な言葉が求められます。具体的なクレーム対応の4つのポイントを順を追って確認していきましょう。
1.謝罪
まず最初に謝罪をすることが大切です。実際はお客様に非があったとしても、お客様を不快にさせてしまったことに対して謝罪を行います。
続く状況の確認を行うためにも、まずはお客様と対話ができるよう少しでも落ち着いていただけるような状況を作ります。
2.状況の確認
どのような状況で何が起こり何に不満を抱いているのかを確認していきます。この時にお電話の場合には適度な相槌が必要です。
対面では頷くだけでも話を聞いていることが見て分かっても、お電話ではそれが伝わりません。「お話を真剣に聞いていますよ」という姿勢を見せましょう。対面の場合はメモを取るなども有効です。
時折、状況の再確認で「〇〇している時に〇〇が起こったということですね?」というように事実の整理を行っていきます。
3.解決策の提案
状況の確認を行ったら、クレームに対してどのような対応ができるかをお客様に伝えます。
返品や交換の案内でもお客様には商品が使えない時間や受け取りの手間などがかかります。問題解決のためにかかる工程はお客様に納得していただく必要があります。
クレーム対応の際は状況の確認と解決策の提案との両方で、商品に対する知識が求められます。日頃から自社の商品がどのようなものかを理解していないとお客様の話が理解できず、解決策を提案できません。
4.最後のご挨拶
他に不満や問題がなければ、お時間を取らせてしまったこととご不満を与えてしまったことに対し再度謝罪を行います。
クレームの内容によっては自社の改善に繋がる内容の場合もあります。
貴重なご意見に感謝してお礼を述べましょう。
クレーム対応力をつけるには
クレーム対応力は突然身につくものではなく、カスタマーサポートなどで専門的に解決を図る組織もあるほどです。
しかし、クレーム対応窓口がない場合、誰がいつクレーム対応を行うことになるか予測もできなければ、苦手だからといって避けられるわけではありません。そのためいつでもクレーム対応を行える準備を整えておく必要があります。
社内全体で意思統一
社員によって対応方法が統一されていなければ、お客様が混乱してしまいます。
スタッフの全員がお客様に対して一定のレベルのクレーム対応を行えるよう、社内全体で意思統一をする必要があります。
クレーム対応力の養成方法としてはマニュアルを作成しておく、ロールプレーイングを通して訓練するなどがあります。どうしても現場では社員全員が同じクレーム対応の経験を積むことはできません。
経験や知識の差もマニュアル化することで、同じ品質のクレーム対応に高められます。
社内研修の実施
マニュアルがあっても社内で共有しなければ意味がありません。社内研修を実施し、社内全体に共有し、経験を積みましょう。特に新入社員など経験の浅い社員ほどクレームの初期段階の対応を行うことが多いはずです。
そこで若手社員や新人スタッフが初手の対応を間違えば怒りが増幅してしまいます。
そのため、入社後すぐに接客・クレーム対応の研修を行う企業も多くありますね。
しかし、クレーム対応は対応する社員にストレスがかかることがあり、それが新入社員の離職にも繋がりかねません。社員研修でクレーム対応について学ぶ際は、新入社員がクレーム対応を行う際に心のゆとりが持てるよう配慮することも大切です。
まとめ
クレーム対応を行うときにはどうしても緊張してしまうものです。
対応するときは「謝罪」、「状況の確認」、「解決策の提案」、「最後のご挨拶」の基本的な4つのポイントをおさえて落ち着いて行うことが大切です。
基本をきちんと身につけておけば、少しでも緊張せずに済むことでしょう。
クレーム対応を行った後は、社内で共有財産として組織の今後に活かしていきましょう。