「リテール」とは
まず、「リテール」はどのような意味を持つのか、一緒に覚えておきたい概念である「ホールセール」の意味との違いを合わせて説明します。
「リテール」とは
「リテール」は「個人に向けて販売する」という意味で、業者から仕入れた商品を個人の消費者に向けて販売するビジネスをこう呼びます。 つまり、リテールにおけるセールスは、個人に向けて行うBtoC (Business to Customer) です。 リテール業界は小売業界とも呼ばれ、スーパーやコンビニなどが代表的な例です。
リテール営業といった「リテール〇〇」と表現する用語は以前銀行業界で頻繁に使用されていました。今ではアパレル・不動産業界・食品業界など様々な業界に置いて使われている言葉です。
「ホールセール」の意味との違いとは
「ホールセール」は卸売銀行業務の意味を持っています。投資家や自治体、政府関係などに対して大口の預金や貸付業務を行います。
リテール業界の顧客は個人の消費者であるのに対して、ホールセールでの顧客は、法人です。委託会社や信託銀行、投資顧問会社、生命保険会社、損害保険会社に加え、年金基金、公的な金融機関である郵便貯金、簡易保険などが例として挙げられます。
銀行におけるホールセールでは各顧客に失敗しないような財産運用などをサポートして、信頼関係を築きます。
業界ごとに見る、『リテール』の意味と具体例
リテールには金融業界や小売業界、不動産業界など様々な業界がありますが、それぞれの意味と具体例を説明します。
金融業界におけるリテールとは
金融業界でのリテール業は資産運用や資産の保全、相続、承継、住宅ローンなど、個人の金融関係をサポートします。
金融業界のリテール業は国の制度や風土、国民性によっても変わります。例えば、地域によってはアパートを借りる際に独自の習慣が残っている地域もあり、それに合わせてサポートをするのです。
日本の金融業界からみたリテール業は大規模なものであり、各個人によって資産の種類や目的は違います。そのため、金融業界のリテール業に携わる人は、顧客それぞれ個人に合った戦略が求められるのです。
小売業界(アパレル)におけるリテールとは
アパレル業界では、どのようなリテール業が行われるのでしょうか。アパレル業界のリテールには3つの種類があります。
まずは、店舗運営のための営業や販路拡大、店舗スタッフのサポートなど、お客様が気持ちよく買い物ができるように店舗内サポートを行う実店舗専任の営業です。
次に、ECサイトの運営や改善、お客様のフォローを行うEC専任の営業です。
最後に、他社のECサイトや押売専任の営業を行い、他の企業や会社を介してお客様に商品をお届けする業務です。
不動産業界におけるリテールとは
不動産業界におけるリテール業は、個人顧客の不動産売却や購入、コンサルティングなどを行います。例えば、持ち家を売却したいと相談を受けた場合は、適切なアドバイスをした上で売却までのサポートをします。
不動産業務では、顧客の売りたい・買いたい・貸したい・利益を得たいなど、多様なニーズに合わせてサポートする必要があります。顧客が個人ならばリテール、法人ならばホールセールという括りになります。
小売業界(リテール業界)の抱える課題とは
小売業界にはどのような課題が見られるのでしょう。リテール業界が抱える課題を2つ説明します。
人手(労働力)不足問題
リテール業界の課題としては、人手不足が挙げられます。労働力が不足しており、業務オペレーションがうまく回らないことが一番の課題です。それにより、売上・来店顧客の減少に繋がってしまっている場合もあります。
リテール業界は、一対一の顧客対応が必要です。しかし、現状それほどスタッフを雇えていない会社が多いです。
このように、リテール業界は必要なスタッフに対して実際のスタッフの人数が追いついていないことが多いです。そのため、最近ではITシステムを導入し、スタッフの業務を減らして、対顧客のために時間をつくれるように改善している企業も多くあります。
デジタル化への移行
しかし、リテール業界が抱える2つ目の問題として、システム化への移行がスムーズに行えないことがあります。システムへ移行するためには、ある程度の初期費用がかかり、それに影響を受けるスタッフはITシステムを使いこなせる必要があります。
いくつかの難点がありますが、特にコロナ禍で移動が制限されていることからECサイトやネットの活用は必須となっています。
コロナ禍においては、初期費用・優先順位などを踏まえ、必要なものから導入するのが良いでしょう。
まとめ
リテール業務は個人、ホールセールは法人が相手です。また、この記事では、業界に応じたリテール業務を具体的にご紹介しました。
そして、リテール業界では、人材不足やデジタル化への移行がスムーズに行えていないことが課題となっていますが、自社や自店の課題解に取り組むべき優先順位をつけて一つ一つ改善していくことが重要でしょう。