店舗DX用語解説

VMDとは?店舗やディスプレイで使える活用戦略と成果に繋がる3つの視点

VMDとは

販売、店舗設計に欠かせない「VMD」とは、具体的にどのような内容を指すのでしょうか。

詳しく見ていきましょう。

VMDの定義

VMDとは、ビジュアルマーチャンダイジングの略称で、「お客さまが商品を見やすく、購入しやすい売り場つくり」を指します。

つまり、店舗内での視覚に訴えかける部分と商品の見せ方を考える活動をVMDと呼んでいます。

以下の4つは代表的な具体例です。

  1. ブランディングをもとにショップの内装イメージをつくる
  2. マネキンを用意し、店舗のレイアウトを考える
  3. ディスプレイの変更や調整する
  4. 販売員のトレーニングを行う

VMDの役割・業務内容

VMDを行うにあたって、「MD(マーチャンダイジング)」について理解している必要があります。MDとは、お客様に商品を買ってもらうための計画です。

具体的には、お客様が求めるものを的確に察知し、丁度良い価格、数量、タイミングで提供することを指します。

VMDはMDを視覚化することです。

VMDの役割は、MDを視覚的に具現化し、お客様へアプローチするマーケティングの役割を担っています。

VMDとよく混同される言葉に「ディスプレイ」があります。ディスプレイのメインは商品で、棚に陳列し、演出を行うことで商品が良く見えるよう工夫することです。

一方で、VMDは店舗やブランドの価値を視覚的にアピールするもので、商品だけでなく、店舗そのものや、ブランド、会社をアピールするマーケティング手法の一つです。

つまり、VMDを業務として行う場合、商品から会社までのトータルコーディネートによるブランディングを意識しなければいけません。

VMDとして必要とされる3つの視点

ここからはVMDの基本となる「VP」「PP」「IP」について、実際の業務に即した内容を紹介します。

VP(ビジュアル・プレゼンテーション)

VP(ビジュアルプレゼンテーションの役割)は、お店のコンセプトやテーマがわかるように、視覚的に訴求してお客様に入店してもらうことです。

ビジュアルプレゼンテーションによるマーケティングは、店舗の立地や、ターゲットとする顧客層を十分に理解しておく必要があります。

例えば、周りのショップがどのような外観やポスターを使っているのか、周辺を通る人達はターゲット層に適合しているのか、などの事前調査により方針を定めていきます。

また、自ら顧客の目線となって、外観を確認し、入店してみることであらたな気づきを得ることもできます。

ビジュアルプレゼンテーションでは、カラーを統一するなどして、ブランドイメージを的確に伝えることも重要です。

全体のトーンを考えずに商品陳列や看板作りを行ってしまうと、お客様が商品選びの際に戸惑ってしまいます。

使う色は原則3つまでと絞ると良いでしょう。

PP(ポイント・プレゼンテーション)

PP(ポイントプレゼンテーション)は、「何のお店なのか」「何が置いてあるのか」をお客様がひと目で理解できるようにする施策を指します。

例えば、お客様が気になる商品をスムーズに発見できるように陳列を考えたり、店舗全体を把握できるようにして、迷いなくお店を見て回れるレイアウトを考えます。

ポイントプレゼンテーションがうまく機能すると、お客様に一つの商品をじっくりと見てもらうよう誘導することができます。

お客様は店内に入るとまず、どのエリアに何があるのか、自然と判断しています。

従って、どのエリアに何があるのか分からないとお客様の視点が定まらなくなり、気持ちよく購入活動が行えません。

そのため、各エリアに何があるのか、文字やビジュアルで的確に示すことは商品販売において、とても重要なことなのです。

IP(アイテム・プレゼンテーション)

IP(アイテムプレゼンテーション)は、商品の陳列、POPによって商品の種類、色、サイズなどを的確に伝える方法です。

具体的には、商品の特徴がうまくアピールされたPOPを添えておくと、接客なしでも商品が売れるようになります。

効果的なアイテムプレゼンテーションを行うには、陳列を工夫し、簡潔なPOPを作成しましょう。

ただ陳列するだけでなく、季節感や商品の特性、ブランドの特色を考え、売りたいもの、認知を上げたいものなど、メリハリをつけた陳列を行います。

また、POPには多くの情報を書きたくなりますが、多過ぎるとかえってお客様の混乱を招いてしまいます。

メインで伝えたい情報を単語で書き、テキストを書く場合は簡潔にわかりやすい内容にしましょう。

VMDの最適化

VMDをより機能させるために、AIDMA(アイドマ)の考え方を取り入れる手法があります。

具体的な内容を以下に解説します。

AIDMAの活用

AIDMA(アイドマ)は、「Attention(注意)」「 Interest(関心)」「 Desire(欲求)」「 Memory(記憶)」「 Action(行動)」の頭文字を取った造語で、購買プロセスを5つの段階に分けて定義しています。

  1. 売り場を発見してもらう
  2. 店内の商品に興味をもってもらう
  3. 購買欲を持ってもらう
  4. 店内や商品をトータルで記憶してもらう
  5. 購買を後押しする

お客様の購買行動の段階において、VMDの施策をうまくリンクさせると、無理なセールストークが必要なくなります。

AIDMAを意識しつつ、VMDを進めていくとより高い効果が得られるでしょう。

VMD戦略の効果

ここで改めてVMDの施策に対する効果を確認しておきましょう。

視覚的な訴求が可能

MDとは商品計画のことで、トータルな戦略によって商品の販促を狙うものですが、これにビジュアルの要素を加味したものが、VMDです。

MDによって、具体的に練られた販促計画に視覚的要素を加えることで、商品やブランド、店舗を具体的にイメージすることができ、持続的な販促にも繋がります。

VMDは、店舗による商品販売には欠かせない戦略で、綿密なマーケティングの上に成り立つものなのです。

他社との差別化になる

VMDはマーケティングによるブランドや会社の認知度を上げる役割もあるので、他社との差別化にも欠かせない戦略です。自社の特徴やアピールポイントを看板やテキスト、色で表現します。

多数の商品が出回る現代では、自社と他社の差別化が図れないとうまく商品が売れないので、VMDをつかった他社との差別化はとても重要になってきます。

まとめ

VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)はMD(マーチャンダイジング)によって計画された商品計画や販売意図を、視覚的に具現化し、お客様へアピールする重要なマーケティング手法です。

VMDには「VP」「PP」「IP」の3つの要素があり、この3要素を抑えつつ、お客様の購買行動を体系化したAIDMA(アイドマ)を加味することで、より効果的な販促計画を練ることができます。

店舗やブランド、商品などのトータルマーケティングを考える際は、VMDを効果的に活用しましょう。