飲食店を開業するなら
どんな店舗にするのかコンセプトを決める
飲食店を営業するベースとなるのは「コンセプト決定」です。コンセプトが曖昧なまま事業計画策定に入ってしまうとその後の動きが上手くまとまらなくなってしまいます。
飲食店のコンセプト設定には6W2Hを使うと良いでしょう。
<6W2H>
- When いつ
- Where どこで
- Who 誰が
- Whom 誰に
- What なにを
- How mach いくらで
- How どのように
- why なぜ
6W2Hは動機・目的・理由の部分です。具体的なイメージを膨らませ、細部まで設定をすることでお店の経営方針を固めることができるでしょう。
費用を見積る
初期に掛かる費用
物件取得費用
項目 | 詳細 | 費用目安 |
保証金 | 契約時に大家さんに支払う【返還あり】 | 家賃10ヶ月分 |
礼金 | 契約時に大家さんに支払う【返還なし】 | 家賃1ヶ月分 |
仲介手数料 | 不動産業への支払い | 家賃1ヶ月分 |
前家賃 | 翌月分の家賃も払う | 家賃1ヶ月分+日割り |
店舗投資費用
項目 | 詳細 |
外装費 | 看板設置など |
内装費・設計費 | 床・水回り・電気・インテリア・ガスなど |
厨房機器費 | ガス台・シンク・冷蔵庫・電子レンジなど |
POSレジ導入 | レジ導入にかかる費用 |
備品費 | フライパン・鍋・食器など |
販促費 | 宣伝広告・webサイトなど |
アルバイト費 | アルバイト募集の為の費用 |
※費用は業者による。
融資を受ける
日本政策金融公庫は飲食店を経営している人の中で一番利用率が高い融資制度です。3つに大きく分類されます。
新規開業資金
多様なニーズへの対応や雇用の創出を伴うものであれば申請することができます。
対象者 | 新たに事業を始める方または事業開始後おおむね7年以内の方 |
使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(うち運転資金4,800万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(据置期間2年以内) |
担保・保証人 | 要相談 |
新創業融資制度
融資限度額は最大3,000万円で無保証人・無担保で融資を申請することができます。
対象者 | 次のすべての要件に該当する方 ■1.対象者の要件 新たに事業を始める方または事業開始後税務申告を2期終えていない方 ■2.自己資金の要件 新たに事業を始める方、または事業開始後税務申告を1期終えていない方は、創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方 ただし、「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」等に該当する場合は、本要件を満たすものとします。 |
使い道 | 新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要とする設備資金および運転資金 |
融資限度額 | 3,000万円(うち運転資金1,500万円) |
返済期間 | 各融資制度に定めるご返済期間以内 |
担保・保証人 | 原則不要 |
中小企業経営協力資金
融資限度額は7億2千万円で低金利で融資を申請することが可能です。
対象者 | 次の■1.または■2.に当てはまる方 ■1.次のすべてに当てはまる方 ①経営革新または異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓等により市場の創出・開拓(新規開業を行う場合を含む。)を行おうとする方 ②事業計画書を策定し、中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関による指導および助言を受けている方 ■2.次のすべてに当てはまる方 ①「中小企業の会計に関する基本要領」または「中小企業の会計に関する指針」を完全に適用している方または適用する予定である方 ②事業計画書を策定する方 |
使い道 | 「ご利用いただける方」に該当する方が、事業計画の実施のために必要とする設備資金および長期運転資金 長期運転資金には、建物等の更新に伴い一時的に施設等を賃借するために必要な資金を含みます。 |
融資限度額 | 直接貸付 7億2千万円(うち運転資金2億5千万円) |
返済期間 | 設備資金:20年以内(据置期間2年以内) 運転資金:7年以内(据置期間2年以内) |
担保・保証人 | 要相談 |
物件を探す
店舗契約までの流れ
飲食店の経営物件を契約するまでの流れは基本的に住居を契約する流れと同じになります。
店舗物件を借りる流れ
- 家賃や立地の条件を考える
- インターネットや不動産屋などで物件を探す
- 物件を内覧する
- 入居の申し込みをする
- 入居審査を受ける
大まかには上記のような流れになります。
気をつける点として、「店舗用」の賃貸物件があったとしても飲食店経営をしても良い物件とは限りません。飲食店向けの賃貸物件であるかどうか、事前にきちんと確認をしましょう。また、店舗の面積・広さも非常に大切です。自店舗のサービスやコンセプトを満たせる必要な広さを考え、適度な面積の店舗を探しましょう。
費用
物件に支払う賃料の目安は「売上の10%」です。
これ以上かかってしまうと、固定費の負担が増え、利益が生まれなくなってしまうため注意しなければなりません。
逆に10%を下回ってしまうことも、店のコンセプトやサービスにあった店舗づくりができていないことに繋がり、顧客満足度を思うように得られなくなってしまいますので、安易に安ければいいわけでもありません。
運転資金を見積もる
具体的な運転資金の目安はお店の種類や規模によっても異なりますが、600万円〜1,000万円です。運転資金の場合、金融機関からの融資として丸々半年分以上を受け取ることは非常に難しいです。
最低でも3ヶ月分程度の運転資金は自己資金として貯蓄して準備しておくのが良いでしょう。また、創業融資・制度融資や補助金・助成金などでプラスで資金調達をしておくことでよりスムーズに店舗運営をすることができるでしょう。
内装をコンセプトに合わせて設計する
内装工事に掛かる時間は3週間〜2ヶ月程度とされています。物件の状態・規模によって工事に掛かる日数はそれぞれ異なります。そのためまずは内装業者との打ち合わせで自分の作りたい店のコンセプト・イメージを提示しましょう。
コンセプトを伝える際には、画像や写真を用意し、相手がよりイメージしやすいように心がけましょう。
内装工事の大まかなスケジュール
- 内装業者との打ち合わせ
- 完成予想図や見積書の提示
- 業者選択
- 着工
- 完成
飲食店の開業に必要な資格
食品衛生責任者
店舗で扱う全ての食品の衛生管理責任者を指します。
詳しい役割は
- 従業員の健康管理
- 衛生管理表のチェック
- 保管・加熱方法など食品の扱い取り締まり
- 不衛生箇所の改善
になります。衛生管理を怠ってしまうと、食中毒などで飲食店の経営をストップせざるおえない状況を作り出してしまいます。正しい知識を持った有資格者が衛生管理を行うことでそれらの自己を未然に防ぐことに繋がります。
防火管理者
火事を未然に防ぐために各種施設に見合った消防計画を立案し、計画的管理を行う人のことを指します。火災を防ぐためには専門的知識が必要不可欠であり、消防署などの専門的視点から予防措置を取る必要があります。万が一火災が起きてしまった場合でも的確な避難指示で被害を最小限に抑えることができます。防火管理者は日常的に防火管理の知識・責任を持って行動することがとても重要です。
深夜酒類提供飲食店営業
午前0時〜日の出までに酒類を提供する飲食店営業のことを指し、深夜酒類提供飲食店営業開始届は営業開始の10日前までに出す必要があります。酒類の提供が主でない場合は深夜酒類提供飲食店営業から省かれます。また、深夜0時〜日の出の以外の酒類の提供も深夜酒類提供飲食店営業に含まれません。
飲食店の開業のために必要な届出
税金 | 個人事業主の開業届出書 |
衛生 | 飲食店営業許可 |
消防 | 防火管理者選任届 |
雇用 | 労災保険の加入手続き・雇用保険の加入手続き |
酒類 | 深夜酒類提供飲食店営業開始届出書 |
テイクアウト | 菓子製造業許可 (テイクアウト用のお菓子) |
営業 | 風俗営業居 |
法人 | 法人設立届出書 |
法人 | 青色申告承認申請書 |
法人 | 給与支払事務所等の開設届出書 |
法人 | 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 |
集客のコツ
Google ビジネスプロフィールへの登録
最近では、Google map を使用することでお店を地図上から探す人が増えてきました。自店舗をGoogleビジネスプロフィールに登録するだけでGoogle mapに自店舗を載せることができます。
SNS
新メニューや内装など、お店に関わることをSNSに載せるだけで集客効果を見込むことができます。開店の時点からストーリー機能などを使って情報を発信することで好感度が上がり、来店促進に繋がる場合もあります。Instagram・Twitter・Facebookなどのサービスを最大限利用して集客の増加を高めましょう。
店舗ホームページ
自社の店舗ホームページだけでなく、最近ではグルメ系のポータルサイトに掲載することで集客を集めている店舗も数多くあります。サイトによって無料のものと有料のものがあるので、自店舗の予算に合わせて掲載するサイトを選びましょう。
ポスティング
アナログな方法として近隣住民をターゲットにしている場合にはチラシや新聞をポスティングすることで興味を持って貰い集客に繋げる方法もあります。掲載する内容とポスティングするエリアの選定が鍵を握ります。
まとめ
飲食店開業のポイントについて理解することができましたか?
それぞれのお店のコンセプト・イメージに合わせた店舗作りが非常に大切でそれに合わせて工程も大きく変わってくることが分かりましたね。必要な申請にも目を向け、満足のいく飲食店開業を実現させましょう!