店舗経営戦略

リピーターになる人とならない人の心理や特徴を比較検討

店舗が売上を上げるためには新規のお客様獲得も必要ですが、リピーター育成がより重要となります。
店舗にとって貴重なリピーターの心理や特徴を学び、リピーターの心を掴んで売上アップに繋げましょう!

リピーターの心理

リピーターになる人とならない人にはどのような違いがあるのでしょうか?

リピーターとは?

リピーターとは英語で「repeat=繰り返す」に「er=~する人」が付加され「repeater=繰り返す人」という言葉です。
つまり、店舗経営においては「複数回繰り返し来店するお客様」という意味で「一見さん」ではないお客様になります。また、「常連」「お得意様」と呼べるほど何度も来店するお客様は「ファン」と呼ぶこともあります。

リピーターにならない人の特徴

初来店した後に再び同じお店に来店することでリピーターとなりますが、来店は一回だけでリピーターにならない人はどのような人でしょうか?

  • 商品に不満がある
  • 店員や店舗の雰囲気に不満がある
  • 価格が高いと感じている
  • 簡単にいけない場所に店舗がある
  • 特に何も理由はない

不満や問題があるならばそれを解消する手立てを考えれば改善できますが、「特に何も理由はない」が一番の問題です。なぜなら、改善する手立てがありません。

しかし、実際リピーターにならない人の多くは「特に何も理由はない」のです。
「好きの反対は無関心」と耳にしたことがある方もいるかもしれませんが、好きや嫌いの感情は強く心に残ります。無関心では心に残らず、次の機会に「どの店に行こうか?」という選択肢に上がらないのです。
現代は選択肢がたくさんあり、何も理由がなければ選択肢に上がることは難しいのです。

リピーターの特徴

ではリピーターになる人はどのような人でしょうか?

  • 商品が好き
  • 店員や店舗の雰囲気が好き
  • 価格が安いと感じている
  • 行きやすい場所に店舗がある

以上からわかるように、リピーターにならない人の特徴とは逆の理由で店舗に再び足を運んでくれます。
しかし、「特に何も理由はない」の逆はありません。どれか1つの理由でも強く持ってもらえれば、次の機会に選択肢に上がります。リピーター育成の際、お客様の「好き」という感情は非常に重要です。
旅行者の多くは「もう一度訪れたい」と感じ、実際に同じ土地を再度訪れる人も少なくありません。

「好き」という感情は行動の原動力となるため、リピーターを一人でも多く獲得するためには、店舗や商品を好きになってもらう必要があります。

リピーター獲得のための店舗解析ツール

店舗に一度訪れたからと言ってすぐに「好き」という感情が生まれるわけではありません。多くの場合、「好き」の前に「気になる」という感情を人は経験します。
しかし、「気になる」では多くの場合購買に繋がらず、POSなどの売上データからはその感情は読み取ることができません。
そこで、近年話題になっているのが「店舗解析ツール」です。店舗解析ツールでは次のようなことを計測できます。

  • 入店数
  • 入店客の店舗内行動分析
  • 購買率

店舗解析ツールを利用することで、購入に至らなかったお客様が店内で何を見ていたのかを知ることができます。足を止める、手に取る、試着する。全て「気になる」からこそ行う行動です。

そして何をした後に店を出たのか分かります。

これはオンラインショップなどではGoogleアナリティクスを使用してページごとの離脱率を確認することと同じようなことがオフラインの店舗でもできるということになります。

ただの予測から確実なデータを基に分析を行えるようになるのが店舗解析ツールです。

リピーターの心理を活用している事例

リピーターになってもらう、また既にそうである人にはさらにリピートしてもらうために企業各社は日々リピーターの心理を解析して店舗の運用に活用しています。

実際の事例を4つご紹介します。

すかいらーくグループ

すかいらーくグループは2018年3月にすかいらーくアプリをリニューアルしました。

これは、それまで「ガスト」「バーミヤン」「ジョナサン」などチェーンごとのアプリだったものを「すかいらーくグループ」全体で1つのアプリに統合しました。別々のアプリをインストールする煩わしさから解放されるというのももちろんメリットですが、一番のメリットは「グループ内の店舗のいずれかがいつでも選択肢に入る」ことにあります。

平日に職場付近で取る昼食と、休日に家族と外食では、店舗の位置の関係で同じ店舗に行くことは多くないでしょう。
それを「平日は職場近くの和食、休日は自宅近くのファミリーレストラン」というように1つのアプリでどちらも対応できるようにしたのです。お客様も同じ店舗ばかりでは飽きてしまいます。

一つのアプリに様々な選択肢があることでその日の気分、その日の場所に応じていつでも選択肢に入ることができるのです。

参考:https://www.atpress.ne.jp/news/150764

ユニクロ

ユニクロは1995年に「ユニクロの悪口言って100万円」という広告を全国紙の一面に掲載し、悪口(クレーム)は約1万通集まりました。
SNSが普及していない当時にたくさんのクレームを集めることは難しいことでしたので、驚きの方法でした。集まったクレームは「嫌い」という感情です。それを改善すれば「好き」に転じることができます。

集まったクレームの中に「白の肌着は透けるので何とかしてほしい」というものがありました。
ベージュの肌着は「ラクダ色」として若者が敬遠する色でしたが、クールビズで薄着で過ごすことが増えたサラリーマンに大ヒットしました。さらにクレームの中には「レジ待ちしているのに店員がおしゃべりしている」というものがありました。当時は従業員の指導くらいしか対応できることはなかったでしょうが、2017年にICタグを活用したセルフレジを業界ではいち早く導入しました。

ユニクロはこのようにしてお客様の「嫌い」を「好き」に転じて、リピーターの心を掴んでいます

参考:https://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/1412/17/news004.html

焼肉なべしま

九州を中心に展開している焼肉チェーンです。
コロナ禍で飲食店は大打撃だった2019年度も前年度売上高3.1%と好調を維持しています。
飲食店ではファミリー層をターゲットとしている店舗は多くあります。

さらに一歩踏み込んだ焼肉なべしまでは「お子様が散らかすことを気にせずゆっくり召し上がってください」という旨のメッセージが掲示されています。

子供が小さいうちはあれを触る、これをひっくり返す、食べているものは下にたくさん落とす。子供連れの親御さんが外食1回で疲労困憊になることも珍しくありません。そんな疲れた親の心に寄り添ってくれるメッセージです。
「好き」から「大好き」に。お客様は意図せずリピーターからファンになってしまうでしょう。

参考:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/s201203_80.pdf

トライアル

食料品から衣料品、家電、日用品とありとあらゆるものが揃うスーパーセンターのトライアル。
大量仕入れ、大量販売、低価格で多くのリピーターを集めていますが、同時にDXにかなり力を入れています。

具体的には、「スマートショッピングカート」にはバーコードリーダーとタブレットがついています。

商品をかごに入れる前にカートに取り付けられたバーコードリーダーでスキャンし、セルフレジでの待ちを発生させず決済レジを通過するだけでキャッシュレス決済が完了します。

スキャン時にはこれまでの購入履歴から合わせて購入しやすい商品のクーポンの発行やレシピの案内など販売促進しています。

また、売り場を可視化する「リテールAIカメラ」が店舗のいたる所に設置されています。

欠品が出た場合バックヤードにアラートを鳴らし補充を促します。

お客様が棚前で立ち止まったり、商品を手に取ったなどのデータも蓄積され、売り場の改善などのマーケティングに活用しています。

この様にDXの活用で「お買い物体験が変わる」ことでリピーターの獲得をしています。

参考:https://bae.dentsu-pmp.co.jp/articles/retail-ai

まとめ

リピーターになってもらうには、お客様が店舗を選ぶときの選択肢に入らなければなりません。そのための第一歩としてお客様の「気になる」「好き」「嫌い」「大好き」など様々な心理をどのように引き上げるかが重要なポイントです。

followup

店舗解析ツール「FollowUP」では入店カウンターや購買率算出、平均滞在時間の算出などの分析ができます。さらにオプション機能で店舗の動線解析やヒートマップ分析ができます。「気になる」という心理を読み解く店舗解析ツールを一度検討してみてください。