店舗経営戦略

店舗の改装を上手に進めるための費用相場と補助金制度

改装とは?

「改装」の定義

改装と似た言葉で誤用されやすい言葉を紹介します。

改装

改装は模様替えや新装のことで、間取りや広さを変えずに建物の内装や外装を変えることです。具体的には、ペンキ塗装や壁紙の張り替え、畳からフローリングに変えるなどがこれにあたります。

改修

改修とは、建築物の老朽化や不具合により、壊れたものや古くなったものを工事して修理、または改良することをいいます。具体的には、雨漏りの修繕や屋根瓦を変えたり、補助用の手すりを階段等につけるといったことが含まれます。

改築

改築は既存の建築物の一部、もしくはすべてを壊して、新しく建築することです。

増築

増築とは、既存の建築物を壊すことなく、間取りを広げることです。例えば、部屋を広げたり、平屋を2階建てにすることや敷地内に倉庫を造るといったことです。

「改装」することで得られる効果

改装することによるメリットは多数あるので、一つ一つご紹介します。

業務効率を上げることができる

日常的に使用する作業場を働き方に合わせた空間にすることで、社員に働きやすい環境を提供することができます。オフィスでの改装を例にとると、コピー機等の業務によく使用する物品を社員が使いやすい位置に再配置するといったものです。

また、老朽化して作業の効率性が低下している物品を新品に交換すれば、作業の効率性が向上します。

このように社員の動きを捉えて、社員の不満や不便な点を改装時に反映することができれば、業務効率の向上につながります。

社員のモチベーションがあがる

改装前の作業場よりも改装後の方が見栄えや居心地が良いことは社員の満足度を上げることができ、会社や店舗への愛着や帰属意識を高めてくれます。その結果として、社員のモチベーションが上がり、仕事への意識も高まると考えられます。

店舗・企業のイメージアップにつながる

改装によって職場に合わせた雰囲気を演出することで、店舗や企業のイメージアップにつながります。例えば、店舗の場合、古い壁紙を張り替えたり、椅子や机を新しい物に交換することで清潔感が増し、通いたくなる雰囲気をつくることが可能となります。オフィスの場合、オフィスの内装をおしゃれにすることで、社員やお客様に好印象を与えます。また、会社のホームページや広告にきれいなオフィスを紹介することで、よい宣伝となります。きれいなオフィスは、新卒の方にとっては目につきやすいものになるので、人材確保においても改装は重要といえます。

業種ごとの店舗改装の費用相場

飲食店

飲食店の改装費は一般的に、一坪あたり15~30万円程度かかります。飲食店は、店舗経営に当たって必要な設備が多く、費用が高額になる傾向があります。特に厨房設備の改装を行う場合、最大で50万程度かかります。

アパレル店/ショップ

アパレル店の改装費は一般的に、一坪あたり10~20万円程度かかります。アパレル店などの物販店は、飲食店のように特別な設備が必要ではないので比較的に工事費用は安くなります。

オフィス

オフィスの改装費は一般的に、一坪あたり10~15万円程度かかります。オフィスの場合はサロンや飲食店のように、接客を行う必要がありません。よって、デザインや装飾にお金をかける必要がないので、費用を大幅に減らすことができます。また、必要になる物品もパソコンやデスク、コピー機など限られたものになるので、飲食店やサロンと比べて工事費用は安くなります。

サロン

美容室などの改装費は一般的に、一坪あたり15~30万円程度かかります。特に美容室の場合、水を大量に使う業種ですので、水回りの施行を行う場合は、一坪あたり40万円程度と高額になります。

業務改善に伴う店舗改装のために設けられている補助金制度の紹介

店舗の改装時には、大きな経済的負担があります。そこで、改装時の費用を一部助成してくれる制度をご紹介します。

外食産業におけるインバウンド需要回復緊急支援事業

新型コロナウイルスの影響で、外食産業におけるインバウンド需要は大幅に減少しました。そこで、設備導入や店舗改装によるインバウンドの来店客及び売上額の増加を目標に、インバウンド需要回復緊急支援事業が行われています。対象は、売り上げが減少している店舗かつ衛生管理の改善を図るための設備導入(例:手洗い・空気換気設備)や業務転換を図るための改装です。

〈補助率等〉

補助率については1/2以内

1事業申請あたりの交付額の上限1,000万

参照元:農林水産省食料産業局食品製造課 https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaisyoku/R2hosei_shien.html

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金では、商業・サービス業・宿泊業・娯楽業や製造業の小規模事業者が対象で、店舗の改装にも活用することができます。しかし、各事業に応じて従業員の制限があります。

  • 商業・サービス業:常時使用する従業員の数5人以下
  • サービス業のうち宿泊業・娯楽業:常時使用する従業員の数20人以下
  • 製造業その他:常時使用する従業員の数20人以下

〈補助率等〉

補助率:2/3〜3/4

低感染リスク型ビジネス枠:100万円

参照元:独立行政法人中小企業基盤整備機構 全国商工会連合会

https://www.jizokuka-post-corona.jp/

受動喫煙防止対策助成金

この助成金は、中小企業事業において受動喫煙防止のための施設整備において助成することで、受動喫煙を防止することを推進することを目的としています。対象は広く、小売業やサービス業、卸売業、その他の業種で活用可能です。助成金は、電気工事や建築工事などに活用することができますが、受動喫煙防止に直接影響がないものは対象外であることに注意が必要です。

〈補助率等〉

補助率:喫煙室の設置などに係る経費のうち、設備費、工費などの2/3(飲食店以外は1/2)

上限100万円

参照 厚生労働省・都道府県労働局

受動喫煙防止対策助成金の手引き

新型コロナウィルス感染対策店舗改装等補助金

国だけでなく、市が中心となって助成金の交付を行っているものもあります。一例として山口県岩国市が行っているものを紹介します。

対象は新型コロナウイルスの予防対策に対応した対策を講じ、営業を継続または再開する事業者です。また、飲食業、宿泊業、小売業、サービス業、娯楽業といった事業者が申請可能です。

〈補助率等〉

補助率:対象費用の2/3(消費税を除く)

上限20万円

下限10万円

参照:新型コロナウイルス感染対策店舗改装等補助金 事業概要・申請の手引き

業務改善助成金

業務改善助成金は中小企業や小規模事業者の生産性の向上を支援し、最低賃金の引き上げを図るための制度です。生産性向上のために必要な設備投資にかかった費用を一部助成してくれます。

〈補助率等〉

補助率:最低賃金900円未満→4/5 最低賃金900円以上の場合→3/4

上限20~450万円(引き上げる労働者数や生産性の向上率によって変動します)

[2]業務改善助成金:中小企業・小規模事業者の生産性向上のための取組を支援|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

まとめ

店舗改装における費用相場と補助金制度についてご紹介しました。店舗改装時の経済的負担はかなり大きいです。ですので、今回紹介した助成制度をぜひ活用してみてください。

最後までご覧くださり、ありがとうございました。本メディアでは、店舗DXについての記事を掲載しております。興味がある記事がありましたら、ぜひご覧ください。

参照:厚生労働省